自由が丘ウロケアクリニック

女性泌尿器科

過活動膀胱(かかつどうぼうこう)

尿の出口がムズムズすることも。過活動膀胱

膀胱が過敏になって、突然我慢できないような強い尿意(尿意切迫感)がみられる状態です。水の音を聞いたり、水を触ったりするだけで急な尿意を催し、トイレに駆けこむこともあります。さらに、我慢できずに漏れてしまう切迫性尿失禁や、就寝してから起床までに何度も尿意で起きてしまう夜間頻尿も、過活動膀胱の症状の一つです。脳や脊髄などの中枢神経の障害や骨盤底筋の緩み、加齢などが原因のものがありますが、原因不明のものも多いとされています。

治療

行動療法・生活指導・膀胱訓練

薬物治療
  • 抗コリン薬:膀胱の異常な収縮を抑えます。人によっては口が渇く、便秘などの副作用がみられることがあります。
  • β3刺激薬:膀胱を緩めて、おしっこを溜めることができるようにします。

尿失禁(にょうしっきん)

腹圧性尿失禁

咳やくしゃみをした時、重いものを持った時、走った時、ジャンプをした時、大笑いした時など、お腹に力が入った時(腹圧)に尿が漏れてしまう状態です。女性の尿失禁の中で最も多く、週1回以上経験している女性は500万人以上といわれています。これは骨盤底筋という筋肉が緩むために起こり、大きな原因は加齢や出産とされています。便秘など腹圧をかける行動は骨盤底筋を痛める原因になるといわれています。

切迫性尿失禁

急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまう状態です。

溢流性尿失禁

前提として尿が出にくくなる(排尿障害)症状があり、自分で尿を出せずに漏れてくる状態です。
直腸癌や子宮癌の手術の後に症状が見られる場合もあります。

治療

行動療法・生活指導・骨盤底筋体操(特に腹圧性尿失禁に有効です)

薬物治療
  • 腹圧性尿失禁:β2作動薬。膀胱の出口の締まりをよくします。
  • 切迫性尿失禁:過活動膀胱の治療参照。
  • 溢流性尿失禁:α1ブロッカーなど尿を出やすくする薬を使います。場合によっては、導尿(管をいれて尿を出す)や一時的にカテーテルを入れておく場合もあります。

骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)

骨盤臓器脱とは、女性の骨盤を支える筋肉が、加齢や出産、肥満が原因で緩むことによって、膣の入口から飛び出してくる症状です。具体的には、膀胱瘤・直腸瘤・子宮脱・膣断端脱などがあります。はじめは何か下がっているような感じ、さらには膣の入口にピンポン球のようなものが触れるようになります。進行すると頻尿、尿漏れ、残尿感、尿が出にくいなどの症状が出てくることがあります。

骨盤臓器脱説明1
正常
骨盤臓器脱説明2
子宮脱
骨盤臓器脱説明3
直腸脱
骨盤臓器脱説明4
膀胱瘤

治療

対症療法・骨盤底筋体操・生活指導・リングペッサリー

手術療法
  • 経腟メッシュ手術(TVM手術)
  • 腹腔鏡下仙骨固定術(LSC)

急性膀胱炎(きゅうせいぼうこうえん) /

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急性腎盂腎炎(きゅうせいじんうじんえん)

おしっこの時の痛みで、最も多いのは急性膀胱炎です。痛みに加えて、頻尿、残尿感が特徴的な症状です。その他、排尿の終わりの痛み、むずむず感、下腹部の違和感などの症状もあります。細菌が尿道から膀胱へ侵入することによって起こり、尿検査により白血球や細菌を確認します。高熱や倦怠感などの全身症状、背中の痛みなどをともなう場合には、腎盂腎炎を併発している可能性もありますので、早めに受診することが大切です。

治療

  • 薬物療法
  • 抗生剤の内服。重度の場合は、抗生剤の点滴を行います。

間質性膀胱炎(かんしつせいぼうこうえん)

膀胱に原因不明の炎症が起こることによって、頻尿、膀胱や尿道の違和感や痛みが出てくる状態です。急性膀胱炎などの細菌感染とは違い、尿検査で白血球や細菌はみられません。また、急性膀胱炎は排尿の終わるころに痛みが出ますが、間質性膀胱炎は尿がたまると痛くなり、排尿すると痛みが軽くなるのが特徴です。間質性膀胱炎は膀胱壁に炎症が起こり、膀胱が硬くなって広がらなくなってしまいます。頻尿や強い痛みによって精神的な負担も生じます。診断方法は、問診と尿検査、膀胱鏡(尿道からカメラを挿入して、膀胱内の出血点や潰瘍などを観察します)があります。しかし、有効な治療法が確立していないのが現状です。

治療

薬物療法

手術療法
水を膀胱内に入れて膀胱を広げる水圧拡張術。

血尿(肉眼的血尿 / 顕微鏡的血尿)
(にくがんてきけつにょう / けんびきょうてきけつにょう)

おしっこに血液が混ざっている状態です。目で見て分かる赤色や赤褐色の血尿(肉眼的血尿)と、見た目ではわかりませんが健康診断などで指摘される血尿(顕微鏡的血尿)があります。血尿の原因としては、尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)、尿管結石、悪性腫瘍(膀胱癌など)などが挙げられます。特に痛みなど他の症状がない肉眼的血尿は、重大な病気が隠れている場合がありますので早めに受診するようにしてください。

尿路結石(にょうろけっせき)

尿路結石

おしっこは腎臓で作られます。その後、腎盂→尿管→膀胱→尿道を通り、体の外に出てきます。この尿の流れる通り道を尿路と呼び、その尿路に石ができる病気が尿路結石症です。結石がある場所によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼び方が変わります。結石が尿路に詰まると激しい痛みがでます(疝痛発作)。そこに細菌感染を合併すると、腎盂腎炎を起こし高熱がでます。

尿路結石症全体の80%以上は原因不明と言われていますが、生活習慣を改善することで再発予防につながります。

治療

保存療法:10mm以下の小さい結石であれば、自然に出て来るのを待ちます。

手術療法
自然排出を期待できない場合は、体外衝撃波(ESWL)や経尿道的腎尿管結石砕石術(TUL)を行います。大きな腎結石やESWLで破砕するのが困難な結石では、腎臓に穴を開けて行う経皮的腎尿管結石砕石術(PNL)を考慮します。

神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)

脳や脊髄の神経の障害が原因で、おしっこを溜めたり(蓄尿)、出したり(排尿)することができなくなった状態です。中枢性(脳血管障害、パーキンソン病など)、脊髄性(脊髄損傷、二分脊椎など)、末梢性(糖尿病、子宮がんなどの骨盤内腫瘍の術後など)に分けることができます。まったくおしっこが出せなくなった場合は、一時的にカテーテルというおしっこの管を入れることもあります。

治療

  • 薬物療法:α1ブロッカー(おしっこを出しやすくする薬)など
  • 清潔間欠自己導尿(CIC):患者さん自身が専用のカテーテルを尿道から膀胱に入れて、定期的に尿を出す治療法です。

悪性腫瘍(あくせいしゅよう)

泌尿器科領域では腎癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、尿道癌などがあります。当院で検査をして治療等の必要があれば大学病院や他の病院に紹介します。